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第6部分

[日文]人间失格 作者 太宰治-第6部分

小说: [日文]人间失格 作者 太宰治 字数: 每页4000字

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しで、いちど自分を紹介しにその会合へ行ったきりで、マルキシストは、生産面の研究と同時に、消費面の視察も必要だなどと下手な洒落《しゃれ》を言って、その会合には寄りつかず、とかく自分を、その消費面の視察のほうにばかり誘いたがるのでした。思えば、当時は、さまざまの型のマルキシストがいたものです。堀木のように、虚栄のモダニティから、それを自称する者もあり、また自分のように、ただ非合法の匂いが気にいって、そこに坐り込んでいる者もあり、もしもこれらの実体が、マルキシズムの真の信奉者に見破られたら、堀木も自分も、烈火の如く怒られ、卑劣なる裏切者として、たちどころに追い払われた事でしょう。しかし、自分も、また、堀木でさえも、なかなか除名の処分に遭わず、殊にも自分は、その非合法の世界に於いては、合法の紳士たちの世界に於けるよりも、かえってのびのびと、所謂「健康」に振舞う事が出来ましたので、見込みのある「同志」として、噴き出したくなるほど過度に秘密めかした、さまざまの用事をたのまれるほどになったのです。また、事実、自分は、そんな用事をいちども断ったことは無く、平気でなんでも引受け、へんにぎくしゃくして、犬(同志は、ポリスをそう呼んでいました)にあやしまれ不審|訊問《じんもん》などを受けてしくじるような事も無かったし、笑いながら、また、ひとを笑わせながら、そのあぶない(その邉婴芜B中は、一大事の如く緊張し、探偵小説の下手な真似みたいな事までして、極度の警戒を用い、そうして自分にたのむ仕事は、まことに、あっけにとられるくらい、つまらないものでしたが、それでも、彼等は、その用事を、さかんに、あぶながって力んでいるのでした)と、彼等の称する仕事を、とにかく正確にやってのけていました。自分のその当時の気持としては、党員になって捕えられ、たとい終身、刑務所で暮すようになったとしても、平気だったのです。世の中の人間の「実生活」というものを恐怖しながら、毎夜の不眠の地獄で呻《うめ》いているよりは、いっそ牢屋《ろうや》のほうが、楽かも知れないとさえ考えていました。父は、桜木町の別荘では、来客やら外出やら、同じ家にいても、三日も四日も自分と顔を合せる事が無いほどでしたが、しかし、どうにも、父がけむったく、おそろしく、この家を出て、どこか下宿でも、と考えながらもそれを言い出せずにいた矢先に、父がその家を売払うつもりらしいという事を別荘番の老爺《ろうや》から聞きました。父の議員の任期もそろそろ満期に近づき、いろいろ理由のあった事に摺いⅳ辘蓼护螭ⅳ猡Δ长欷赀x挙に出る意志も無い様子で、それに、故郷に一棟、隠居所など建てたりして、枺─宋淳殼鉄oいらしく、たかが、高等学校の一生徒に過ぎない自分のために、邸宅と召使いを提供して置くのも、むだな事だとでも考えたのか、(父の心もまた、世間の人たちの気持ちと同様に、自分にはよくわかりません)とにかく、その家は、間も無く人手にわたり、自分は、本郷森川町の仙撸ю^という古い下宿の、薄暗い部屋に引越して、そうして、たちまち金に困りました。それまで、父から月々、きまった額の小遣いを手渡され、それはもう、二、三日で無くなっても、しかし、煙草も、酒も、チイズも、くだものも、いつでも家にあったし、本や文房具やその他、服装に関するものなど一切、いつでも、近所の店から所謂「ツケ」で求められたし、堀木におそばか天丼などをごちそうしても、父のひいきの町内の店だったら、自分は黙ってその店を出てもかまわなかったのでした。それが急に、下宿のひとり住いになり、何もかも、月々の定額の送金で間に合わせなければならなくなって、自分は、まごつきました。送金は、やはり、二、三日で消えてしまい、自分は慄然《りつぜん》とし、心細さのために狂うようになり、父、兄、姉などへ交互にお金を頼む電報と、イサイフミの手紙(その手紙に於いて訴えている事情は、ことごとく、お道化の虚構でした。人にものを頼むのに、まず、その人を笑わせるのが上策と考えていたのです)を連発する一方、また、堀木に教えられ、せっせと伲荬瑜い颏悉袱帷ⅳ饯欷扦狻ⅳい膜猡黏瞬蛔杂嗓颏筏皮い蓼筏俊K彙⒆苑证摔稀⒑韦慰F故も無い下宿に、ひとりで「生活」して行く能力が無かったのです。自分は、下宿のその部屋に、ひとりでじっとしているのが、おそろしく、いまにも誰かに襲われ、一撃せられるような気がして来て、街に飛び出しては、れいの邉婴问謥护い颏筏郡辍⒒颏い宪ツ兢纫痪wに安い酒を飲み廻ったりして、ほとんど学業も、また画の勉強も放棄し、高等学校へ入学して、二年目の十一月、自分より年上の有夫の婦人と情死事件などを起し、自分の身の上は、一変しました。学校は欠席するし、学科の勉強も、すこしもしなかったのに、それでも、妙に試験の答案に要領のいいところがあるようで、どうやらそれまでは、故郷の肉親をあざむき通して来たのですが、しかし、もうそろそろ、出席日数の不足など、学校のほうから内密に故郷の父へ報告が行っているらしく、父の代理として長兄が、いかめしい文章の長い手紙を、自分に寄こすようになっていたのでした。けれども、それよりも、自分の直接の苦痛は、金の無い事と、それから、れいの邉婴斡檬陇ⅳ趣皮膺'び半分の気持では出来ないくらい、はげしく、いそがしくなって来た事でした。中央地区と言ったか、何地区と言ったか、とにかく本郷、小石川、下谷、神田、あの辺の学校全部の、マルクス学生の行動隊々長というものに、自分はなっていたのでした。武装|蜂起《ほうき》、と聞き、小さいナイフを買い(いま思えば、それは鉛筆をけずるにも足りない、きゃしゃなナイフでした)それを、レンコオトのポケットにいれ、あちこち飛び廻って、所謂《いわゆる》「聯絡《れんらく》」をつけるのでした。お酒を飲んで、ぐっすり眠りたい、しかし、お金がありません。しかも、P(党の事を、そういう隠語で呼んでいたと記憶していますが、或いは、摺盲皮い毪庵欷蓼护螅─韦郅Δ椁稀⒋巍─认ⅳ颏膜窑蓼鉄oいくらい、用事の依頼がまいります。自分の病弱のからだでは、とても勤まりそうも無くなりました。もともと、非合法の興味だけから、そのグルウプの手伝いをしていたのですし、こんなに、それこそ冗談から駒が出たように、いやにいそがしくなって来ると、自分は、ひそかにPのひとたちに、それはお門《かど》ちがいでしょう、あなたたちの直系のものたちにやらせたらどうですか、というようないまいましい感を抱くのを禁ずる事が出来ず、逃げました。逃げて、さすがに、いい気持はせず、死ぬ事にしました。その頃、自分に特別の好意を寄せている女が、三人いました。ひとりは、自分の下宿している仙撸ю^の娘でした。この娘は、自分がれいの邉婴问謥护い扦丐趣丐趣摔胜盲茙ⅳ辍ⅳ搐悉螭馐长伽氦饲蓼皮筏蓼盲皮椤⒈丐河霉{《ようせん》と万年筆を持って自分の部屋にやって来て、「ごめんなさい。下では、妹や弟がうるさくて、ゆっくり手紙も書けないのです」と言って、何やら自分の机に向って一時間以上も書いているのです。自分もまた、知らん振りをして寝ておればいいのに、いかにもその娘が何か自分に言ってもらいたげの様子なので、れいの受け身の奉仕の精神を発摚Г筏啤gに一言も口をききたくない気持なのだけれども、くたくたに疲れ切っているからだに、ウムと気合いをかけて腹這《はらば》いになり、煙草を吸い、「女から来たラヴ.レタ恰L呂をわかしてはいった男があるそうですよ」「あら、いやだ。あなたでしょう?」「ミルクをわかして飲んだ事はあるんです」「光栄だわ、飲んでよ」早くこのひと、帰らねえかなあ、手紙だなんて、見えすいているのに。へへののもへじでも書いているのに摺い胜い螭扦埂!敢姢护皮琛工人坤螭扦庖姢郡胜に激い扦饯ρ预à小ⅳⅳ椤ⅳい浃琛ⅳⅳ椤ⅳい浃琛ⅳ妊预盲啤ⅳ饯韦Δ欷筏胧隆ⅳ窑嗓撙盲趣猡胜⑴dが覚めるばかりなのです。そこで自分は、用事でも言いつけてやれ、と思うんです。「すまないけどね、電車通りの薬屋に行って、カルモチンを買って来てくれない? あんまり疲れすぎて、顔がほてって、かえって眠れないんだ。すまないね。お金は、……」「いいわよ、お金なんか」よろこんで立ちます。用を言いつけるというのは、決して女をしょげさせる事ではなく、かえって女は、男に用事をたのまれると喜ぶものだという事も、自分はちゃんと知っているのでした。もうひとりは、女子高等師範の文科生の所謂「同志」でした。このひととは、れいの邉婴斡檬陇恰ⅳい浃扦鈿叭铡㈩啢蚝悉护胜堡欷肖胜椁胜盲郡韦扦埂4颏梁悉护工螭扦椁狻ⅳ饯闻稀ⅳい膜蓼扦庾苑证摔膜い撇饯い啤ⅳ饯Δ筏啤ⅳ浃郡椁俗苑证恕ⅳ猡韦蛸Iってくれるのでした。「私を本当の姉だと思っていてくれていいわ」そのキザに身震いしながら、自分は、「そのつもりでいるんです」と、愁《うれ》えを含んだ微笑の表情を作って答えます。とにかく、怒らせては、こわい、何とかして、ごまかさなければならぬ、という思い一つのために、自分はいよいよその醜い、いやな女に奉仕をして、そうして、ものを買ってもらっては、(その買い物は、実に趣味の悪い品ばかりで、自分はたいてい、すぐにそれを、焼きとり屋の親爺《おやじ》などにやってしまいました)うれしそうな顔をして、冗談を言っては笑わせ、或る夏の夜、どうしても離れないので、街の暗いところで、そのひとに帰ってもらいたいばかりに、キスをしてやりましたら、あさましく狂乱の如く興奮し、自動車を呼んで、そのひとたちの邉婴韦郡幛嗣孛埭私瑜辘皮ⅳ毪椁筏ぅ鹰毪问聞账撙郡い氏沥ぱ笫窑诉Bれて行き、朝まで大騒ぎという事になり、とんでもない姉だ、と自分はひそかに苦笑しました。下宿屋の娘と言い、またこの「同志」と言い、どうしたって毎日、顔を合せなければならぬ具合になっていますので、これまでの、さまざまの女のひとのように、うまく避けられず、つい、ずるずるに、れいの不安の心から、この二人のご機嫌をただ懸命に取り結び、もはや自分は、金俊晖瑯敜涡韦摔胜盲皮い蓼筏俊M疙暏蓼孔苑证稀€y座の或る大カフエの女給から、思いがけぬ恩を受け、たったいちど逢っただけなのに、それでも、その恩にこだわり、やはり身動き出来ないほどの、心配やら、空《そら》おそろしさを感じていたのでした。その頃になると、自分も、敢えて堀木の案内に頼らずとも、ひとりで電車にも仱欷毪贰ⅳ蓼俊⒏栉杓孔摔庑肖堡毪贰ⅳ蓼郡稀⒔l《かすり》の着物を着て、カフエにだってはいれるくらいの、多少の図々しさを装えるようになっていたのです。心では、相変らず、人間の自信と暴力とを怪しみ、恐れ、悩みながら、うわべだけは、少しずつ、他人と真顔の挨拶、いや、ちがう、自分はやはり敗北のお道化の苦しい笑いを伴わずには、挨拶できないたちなのですが、とにかく、無我夢中のへどもどの挨拶でも、どうやら出来るくらいの「伎倆《ぎりょう》」を、れいの邉婴亲撙陱hったおかげ? または、女の? または、酒? けれども、おもに金銭の不自由のおかげで修得しかけていたのです。どこにいても、おそろしく、かえって大カフエでたくさんの酔客または女給、ボい郡沥摔猡蓼臁ⅳ蓼燹zむ事が出来たら、自分のこの絶えず追われているような心も落ちつくのではなかろうか、と十円持って、銀座のその大カフエに、ひとりではいって、笑いながら相手の女給に、「十円しか無いんだからね、そのつもりで」と言いました。「心配要りません」どこかに関西の訛《なま》りがありました。そうして、その一言が、奇妙に自分の、震えおののいている心をしずめてくれました。いいえ、お金の心配が要らなくなったからではありません、そのひとの傍にいる事に心配が要らないような気がしたのです。自分は、お酒を飲みました。そのひとに安心しているので、かえってお道化など演じる気持も起らず、自分の地金《じがね》の無口で陰惨なところを隠さず見せて、黙ってお酒を飲みました。「こんなの、おすきか?」女は、さまざまの料理を自分の前に並べました。自分は首を振りました。「お酒だけか? うちも飲もう」秋の、寒い夜でした。自分は、ツネ子(といったと覚えていますが、記憶が薄れ、たしかではありません。情死の相手の名前をさえ忘れているような自分なのです)に言いつけられたとおりに、銀座裏の、或る屋台のお鮨《すし》やで、少しもおいしくない鮨を食べながら、(そのひとの名前は忘れても、その時の鮨のまずさだけは、どうした事か、

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