幽霊西へ行く(日语原文)-第15部分
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第四の証人、江藤ハル子はまだ十七の小娘だった。青森の田舎《いなか》の中学を卒業して、すぐに上京して来たらしいのだが、いかにもぽっと出という感じで口もろくにきけない。哲雄の帰って来た時間については正確な証言をしたが、この殺人とはどう考えても、関係がありそうには思えなかった。
最後に吉崎信也だが、この人物には加瀬警部もかすかな疑惑《ぎわく》をいだいていた。それは庭先からこの家の道順の略図を描《か》いた彼の名刺《めいし》が発見されたためだった。常識的に考えてこの被害者《ひがいしや》は、名刺の地図をたよりにこの家を訪《たず》ねて来たところを刺《さ》されたのではないかと思われる……。
吉崎信也は一メ去氚耸陨悉悉ⅳ恧Δ人激铯欷氪竽肖坤盲俊¥工椁辘趣筏块L身に加えてなかなかの美男子だった。大村証券という会社の社員で、二か月ほど前に、大阪から枺─剀炃冥摔胜盲评搐郡肖辘趣いΔ韦坤ⅳ郡筏搜匀~の端々《はしばし》に大阪弁がのこっている。
「ほんとうに死んだ男を?」
加瀬警部が駄目《だめ》をおす言葉も終わらぬうちに、
「知りませんとも。だいたい、こっちにはまだ知り合いもろくにおりませんよって」
と相手は吐《は》き出すように答えた。
「では、これは? 今朝庭から発見されたのですがね」
警部が問睿蚊獭钉幛い贰筏颏膜膜堡毪取⒓樾乓菠悉丹盲阮喩颏āⅳ证膜证膜瓤冥搐猡盲俊
「まだ、白を切り通すつもりかね?」
警部が鋭《するど》くたたみこむと吉崎信也は首をたれ、思ったよりあっさり告白した。
「申しわけありません……ごたごたにまきこまれるのがいやだったので、嘘《うそ》をついたのですが、実は知っています。牧野健という大阪のチンピラですが、私とは中学時代の同級でして、このあいだ、枺kでばったりあったものですから、名刺《めいし》をやって、撸Г婴死搐い趣い盲皮铯欷郡韦扦埂
「証券会社の社員といえば、信用第一がモット扦筏绀Α¥饯欷胜韦恕ⅳ长ΔいΔい铯筏饯Δ誓肖趣膜ⅳ盲皮椁欷郡韦扦工
「いや、そこが友達として……警部はん、そやけど、わてにはしっかりしたアリバイがありまっせ。八時半から午前一時まで、井上|雅子《まさこ》という女子《おなご》と」
興奮のあまり大阪弁になったのだろうが、彼はとたんに声を落としてつけくわえた。
「ただし、このことは哲雄君にはないしょに願います……」
4
大阪と連絡《れんらく》をとったところ、被害者《ひがいしや》は牧野健に摺钉沥筏い胜い长趣_認された。傷害の前科一犯で、今度もちょっとした事件をおこし、一週間ほど前に、枺─靥印钉恕筏渤訾筏郡椁筏ぁ
懐《ふところ》も寒くなったので、吉崎信也をたずねていくらか無心しようとしたのだろうということは容易に推定される。なにか、信也の弱点を握《にぎ》っていることも考えられないではない。
こういう意味で彼などは最高の容疑者に摺い胜い⒄{査の結果アリバイは予想したよりはるかにしっかりしていた。
井上雅子という娘は、裕子の友人で、哲雄の恋人《こいびと》だったのを、女には手の早い信也が横どりしてしまったものらしい。
二人は新宿のある深夜|喫茶《きつさ》で、ねばっていたらしいのだ。十時半ごろまで、雅子のアパ趣沁^ごし、十一時ごろからこの店へ行ったことは完全に証明される。問睿畏感袝r間ごろ三十分の空白があるが、十時半に二人がそろってアパ趣虺訾郡长趣稀ⅳ郅巫∪摔卧^言からたしかめられた。
車を飛ばして、この間に現場と往復できないこともなかろうが、それにしては余裕《よゆう》がなさすぎる。
背後からひと突《つ》きという手口は、明らかに計画的なもので、喧嘩《けんか》や何かではない。被害者《ひがいしや》が枺─乩搐崎gもないという事実、現場の位置などから判断して、犯人はまず米沢家に関係のある人物としか思えないが、信也のほかには、牧野健と交渉《こうしよう》のあった者はいないのだ。
警部は刑事《けいじ》たちを動員して、もう一度、米沢家の内情を洗わせたが、その結果、この家には相当のごたごたがあることがわかった。
当然のことだが、哲雄と信也は仲がわるかった。哲雄も恋人を横どりされてからは、
――どうしてもあいつを追い出してやる。
と何度もいっていたらしい。それをなだめていたのが裕子で、実は彼女は信也に恋しているらしい。もちろん、雅子のことを恨《うら》む点では兄とおなじだが、女ごころはふしぎなものだし、こうしていっしょにいたならば、いつかは信也をとりもどせると思っているのかも知れなかった。
泰二と兄妹との間も、泰二の言葉のように親密なものではなさそうだった。哲雄のほうは、冷飯を食うのにあきて、早く事業をゆずってくれと、しきりにたのんでいるらしいが、泰二のほうは、まだ時間|尚早《しようそう》だといって、なかなか応じないらしい。
現に、この殺人のおこる前の晩にも、二人とも酒の勢いで、激《はげ》しい口論を始めたという。
――叔父《おじ》さんは、インチキをやっている。自分の腹をこやすことだけ考えて……
――馬鹿《ばか》! お前にはまだ、事業家としての資格がないのだ。この恩知らず!
などいうやりとりがあった後で、つかみあいの喧嘩《けんか》になるところを、信也にひきわけられたということだった。事実、泰二は兄弟のため、事業のためばかり思っているのではないような聞きこみもあったのだ……。
しかし、信也以外の三人と、牧野健とを結びつける糸は何一つ発見できなかった。三人とも大阪へ旅行したことはあるが、そこのチンピラと何かの接触《せつしよく》があったということはたしかめきれないし、まして殺人を起こすだけの動機があろうとは思えなかった。
牧野健が大阪で傷つけた相手というのも素人《しろうと》で、やくざと摺钉沥筏盲啤⒄l《だれ》かが枺─蓼菑妥墶钉栅筏妞Α筏摔浃盲评搐郡趣馑激à胜ぁ
さすがの加瀬警部もすっかり途方《とほう》にくれてしまった。
5
「坊主《ぼうず》、また写真か?」
夜おそく、家へ帰って来た警部は、ネガやポジを整理している息子《むすこ》の浩一《こういち》に声をかけた。
「うん、この前の日曜に撮《と》って来たやつ」
「どれどれ」
警部はポジをのぞきこんだ。
「なんだ。これは頭が切れてるじゃないか」
「僕《ぼく》のせいじゃないよ。カメラにパララックスの匡正装置《きようせいそうち》がついてないんだもの」
「パララックス!」
警部の頭に何かが電光のようにかすめた。パララックスといえば、近接|撮影《さつえい》のとき、レンズとファインダ伍gにおきる視野の铡瞑D―それが一つの鋭《するど》いヒントとなったのだ。
「ねえ、一眼レフだと、こんなことにならないんだよ。新しいカメラ買ってくれない?」
「一眼レフというと高いんだろう」
「アイレス?ペンタなら安いよ。それに性能もいいし、僕《ぼく》が本職のカメラマンになるまで、いやなってからもつかえるよ」
「よしよし、月賦《げつぷ》で買ってやろう。一つ、事件が解決した記念にな。しっかり勉強してりっぱなカメラマンになるんだぞ」
――この殺人の犯人を見やぶった警部は、やっと父親らしい気持ちにもどっていたのだった。
死人は筆を選ぶ――犯人当て小説 その二――
1
「横山君、遅《おそ》くまでご苦労だったね。帰りにどこかで一杯《いつぱい》やろうか」
加瀬警部と横山部長|刑事《けいじ》が、ある事件の取り眨伽蚪Kわって、検察庁へ送る眨麜蜃鳏杲Kわった時には、もう九時すぎになっていた。
「どうもありがとうございます。でも、このぐらいではなかなか音《ね》をあげておられませんよ。第一、捜査《そうさ》課長からして残業じゃありませんか」
横山部長は、いかにもエネルギ瑴氦沥ⅳ栅欷皮い毪瑜Δ示尢濉钉瑜郡ぁ筏颏妞工盲菩Δ盲俊
電話が鳴った。噂《うわさ》をすればなんとやら内線の中島|捜一《そういち》課長からだった。
「加瀬君、仕事はすんだかね?」
「はあ、ただいま終了《しゆうりよう》いたしました」
「そうか。それでは疲《つか》れているところご苦労さんだが、もう一仕事やってくれんか」
「事件は?」
「殺しだ。松尾|恒弘《つねひろ》――千代田大学の英文学教授がやられたのだ。住所は|雑司ケ谷《ぞうしがや》二の四四二、墓地《ぼち》のすぐそばの家だがね」
加瀬警部はごくりと生唾《なまつば》をのみこんだ。このごろは大学の数もめちゃくちゃにふえているから、私立大学の教授といっても、一々名前もおぼえてはいられないが、松尾恒弘という人物は、翻訳家《ほんやくか》なり評論家としての方がかえって有名な存在なのだ。加瀬警部もつい二、三日前、雑誌でその名前を眼《め》にしたばかりだった。
「はい、わかりました。すぐまいります」
加瀬警部は電話機をおいて、
「横山君、酒はこの次にしてもらうよ」
「事件ですね?」
横山部長は机の上のメモをのぞきこんで、
「縁起《えんぎ》の悪い番地ですね。シニンが二人頭をあわせてならんでいる」
と眉《まゆ》をひそめた。
2
松尾|恒弘《つねひろ》の邸宅《ていたく》は、戦争前の建築らしい。いかにも古風で堂々とした洋館だが、気のせいか、警部は中に一歩ふみこんだとたんに、胸をしめつけられるような息苦しさを感じた。
現場は奥《おく》の洋間だった。十六|畳《じよう》ぐらいの大きさで、壁《かべ》は大半が書棚《しよだな》になっており、一隅《いちぐう》にはデスク、その反対側の隅《すみ》には、応接用のセットがおいてある。
松尾恒弘は、和服のまま、回転|椅子《いす》にすわり、デスクにうつぶせになって死んでいた。警部がちょっと横顔をのぞきこんだ感じでは五十五、六と思われた。
「妙《みよう》だな」
部屋《へや》を見まわして警部はつぶやいた。回転椅子や、その下の絨毯《じゆうたん》がべっとり血にそまっているのは当然として、その血の糸は、ずっと応接セットのほうまで続いている。
「やられたのはむこうですね。犯人は被害者《ひがいしや》とすわって話をしている間に、突然|凶器《きようき》で先生を刺《さ》し、死んだと思って逃《に》げ出したのですね。しかし、先生は完全に死んではいなかった。最後の死力をふりしぼって、ここまではって来ると、なんとか体を椅子までひきずりあげ、ここへすわって息をひきとったのですね」
横山部長は、警部の心中を見すかしたようにいった。
「うむ、鋭《するど》い短刀かペンナイフのようなもので、心臓近くを一突《ひとつ》きにやられたのだな」
「凶器《きようき》はまだ発見されませんが、犯人はこれを楯《たて》のようにして、自分の体に返り血のつくのをさけようとしたと思われます」
床《ゆか》の上におちていたクッションを指さして目白署の刑事《けいじ》がいった。傷口は左乳の近く、そこを前からやられている。たしかに、常習犯でもないかぎり、これだけの傷をおわせたなら、相手は即死《そくし》したと思うだろう。
「なるほど、それで問睿稀ⅳ胜急缓φ摺钉窑い筏洹筏⑺懒Δ颏膜筏啤ⅳ长长蓼扦悉盲评搐郡趣いΔ长趣坤
警部はいま一度、死体を見つめた。顔の下にはメモ用紙らしい紙片がのぞいている。その上には「二」という字が一字書きのこされ、その末端《まつたん》で右手の万年筆がとまっていた。
「妙《みよう》だ……」
「何がです?」
横山部長も今度は警部の真意を読みとれなかったらしい。首をかしげてたずねた。
「なぜ、先生がいまわのきわに、この万年筆を使ったかということだよ。わざわざこれを選んでキャップをぬいたらしいが」
たしかに、死体の左手は、金色のキャップを握《にぎ》りしめている。それなのに、デスクの上のペン皿《ざら》には、鉛筆《えんぴつ》もあれば、すぐ書けるようになっている万年筆も二、三本のっているのだ。
「そういえばたしかに妙《みよう》ですね。握っているのはたしかにプラチナ?オネスト六〇――机の上のはパ‘にシェファ衰猊螗芝楗螭扦工俊ˉ雪‘カ悉工皶堡胩鍎荬摔胜盲皮い毪韦恕ⅳ胜脊b品を、わざわざキャップをぬいてつかったんでしょう」
「わからんな。これはたしかに、インキ壜《つぼ》がいらないというキャッチフレ氦菈婴瓿訾筏皮い胪蚰旯Pのはずだが、そういう性能はともかくとして、死ぬことを覚悟《かくご》した人間が、最後にこの一本にこ