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第22部分

好き≠恋(日文版)-第22部分

小说: 好き≠恋(日文版) 字数: 每页4000字

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「でも、母さんとか、義父さんには……、冷たく出来なかった。育ててもらってるからとか、家に住まわせてもらってるから、冷たい態度を取っちゃいけないと思って、出来るだけ普通に振る舞ってた。だけど、お前は……、歩なら嫌っても良いんじゃないかって、歩を嫌ってることで俺は自分を保ってただけなんだ……。謝って済まされる事じゃないって言うのは分かってる。勝手に嫌いって決めつけて、突っぱねて、優しくしようとしてくれてたのを最初から拒んで……。だから、俺はお前に嫌われても仕方ないんだ。嫌われるようなことを、ずっとしてきたんだから」
 健人の表情が苦渋に滲んで、目を瞑る。今まで泣いてこなかったせいか、泣こうと思っても涙なんて出てこなかった。泣いて、許される事ではない。泣いても、同情を引くだけだと分かっていても、今は泣きたいと思った。
「謝っても許されないことぐらい分かってる。優しくしてくれたことだって、今になってようやくありがたいと思った。でも、今頃気付くなんて、俺は本当に最低で、どうしようもない奴で……。自分のことしか考えてない、凄く弱い奴なんだ。だから……、嫌いなら嫌いではっきり言ってくれ。じゃないと、俺、分からないから。言ってくれないと、深読みなんか出来ないから、分からない……」
 崩れるように蹲った健人に釣られて、歩も一緒にしゃがんでしまう。掴まれている手がとても温かいのに、ク椹‘が効いているせいか、とても寒く感じた。何も言ってこない歩に、健人は少しだけ悲しさを覚えた。
 数秒間、沈黙する。啜り泣く様な息遣いが聞こえて、歩は健人を見つめた。
「……健人」
 名前を呼ぶと、ハッとしたように顔を上げて、健人は歩を見つめる。まっすぐ歩の目を見つめる健人は、不安げで苦しそうだ。こんな時こそ、泣いてしまえば良いのに、健人は泣けずに苦しんでいるようだった。
「健人は俺のこと、どう思ってるの? 嫌い? 好き?」
 優しく尋ねられて、健人は唇をかみしめた。好きか、嫌いか、その二択なら健人はすぐに選ぶことが出来る。出来るはずなのに、言葉が出てこなかった。好きと言って、歩に拒否されたらどうしよう。そんな考えが過ぎって、答えることが出来ない。
「……俺は」
 一言、だ。たったの2文字を言うだけなのに、こんなにも出ないとは思わなかった。口が渇いて、喉が痛い。フロ辚螗挨尉@ぎ目を見つめて、健人は息を吸った。
「健人のこと、好きだよ。俺は」
 まず、頭に浮かんだのは、空耳かどうか、だった。言葉が頭の中に流れてきたとき、それを情報として捉えることが出来なかった。顔を上げて、先ほど吸った息を吐きだした。言葉と一緒に吐き出す予定だったのに、予定とは全然摺ρ匀~が声として出てきた。
「……え」
 吐き出した息を共に出てきた戸惑いの声に、歩は困ったように笑った。
「だから、健人が俺のこと、どう思ってるか気になる。今は、嫌われて無いってことで、良いんだよね」
 何でも許してくれるような笑顔を向けられて、健人は何も答えることが出来なかった。ひたすら、何度も頷いているうちに、目から何かが零れてくるのが分かった。パタパタとフロ辚螗挨怂韦浃沥郡长趣恰⑵い皮い毪韦坤葰莞钉い俊
「健人は最低な奴じゃない」
 そこだけはどうしても否定したくて、少し強い口眨菤iは言う。
「でも、俺はっ……」
「最低な奴じゃない」
 もう一度、今度は強い口眨茄预铯欷啤⒔∪摔峡冥颏膜挨螭馈W畹亭坤人激盲皮い毪韦恕iがそれを認めさせないと何度も言い返される気がした。こんなにも良い奴だと言うのに、どうして嫌ったんだろうかと、昔の自分が憎くなった。健人は優しく髪の毛を撫でる歩を見つめた。
「無理してる、わけじゃないんだな」
「無理なんかしてないよ。健人が思ってるほど、俺は器用な奴じゃないし、嫌いな奴と話しあったりしようとも思わない。…………それに、健人が思ってるより、俺は優しい奴なんかじゃないよ」
 歩は健人の腕を取って、立ちあがらせた。目を逸らさず、見つめている健人を見下ろして、少しだけ微笑む。健人の想いを聞けて、すっとした。今まで嫌われていた理由も分かって、肩の荷が降りた。何が原因で二人の関係をこじらせていたのか分かって、すっきりとする。
「俺が可哀想だからじゃ……」
「そんなんで優しくしてると思ったの? 確かに、可哀想だと思ったことはあるよ。雷に怯えてる時とか、ちょっと思ったかも。でも、それだけで優しくしてやれるほど、俺は出来た人間じゃないし。本気で健人のこと嫌いだったら、雷鳴ってて怯えてるのを見ても、絶対に無視してた。一人で怯えてれば良いと思ってる。でも、俺は放っておけなかったんだ。健人が一人でガタガタ震えてるの見たら、抱き締めずには居られなかった。一人じゃないって、健人に教えてあげたかった」
 健人の腕を取っている歩の手が、少し震えているように感じた。健人は手に目を移して震えているのを見て、歩に目を移す。寒いわけでもないのに、どうして手が震えているのか、分からなかった。
「ジンは、健人のことを可哀想だって言ってた。俺だって可哀想だと思ったのに、可哀想なんて同情するなって思ったんだ。すげⅴ啷膜い俊=∪摔戎倭激─盲皮毳弗笠姢皮郡椤ⅴ弗螭啶啷膜い啤⒃绀∪摔橐悉丹胜悚盲扑激盲俊A证仍挙筏皮霑rもそうかな。健人が誰かと楽しそうに喋ってるとさ、イライラしてる自分がいるの。俺さ、すげ黄饔盲坤椤ⅳ饯ρ预Δ坞Lせなくて……。でも、健人にこんなこと言えないし、一人で空回ってた。だから、凄く健人には迷惑かけたよね。ごめんね……」
 掴んでいる手が離れそうになり、健人はその手を掴み返した。その手が離れて行くことが、何よりも辛い。歩の手を握って、健人は顔上げる。
「同情されるのは、好きじゃない。むしろ、嫌いだ。可哀想だなんて思われたくない。歩にも……、同情されたくないと思った。でも、優しくしてくれるなら同情でも良いと思ったんだ。俺のことを考えてくれるなら、同情でも何でもよかった……」
「……同情なんか、してないよ。可哀想って思ったら、同情なんか通り越しちゃったんだよ」
 呆れたように笑っている歩を見て、健人は首を傾げた。言っていることの意味が、よく分からなかった。
「……どう、いう……」
 尋ねる前に健人は手を引っ張り上げられ、つま先立ちになる。いきなり、引きあげられたことに驚いて歩を見ると、歩の顔が目前にまで近づいていた。唇に何か暖かいものが触れて、すぐに離れた。
 引きあげられた手がそっと離れて、足に地面が付いた。
 健人は顔を見上げたまま、固まっていた。
「同情通り越して、好きになった。さっきも言ったと思うけど、健人のこと好きだよ。俺は」
 もう一度はっきりと言われ、健人は唖然としたまま、歩を見上げていた。
 この好きの意味が、普通の好きとは摺Δ取o理やり思い知らされた。それもまた、脳が情報を拒絶し、理解しようとする前に思考回路が停止してしまった。
「健人のこと、好きだよ」
 この言葉を聞いたのは、二度目だった。一度目のときは、冗談を言っているような、からかわれている気がして間に受けていなかった。けど、今は摺Αiの目は真剣で、挙句の果てには唇まで合わせてきた。それが何を意味しているのか、言われなくても分かっていた。ただ、信じられない。それだけだった。
「……ごめん」
 歩の指が、健人の唇に触れる。そこでようやく思考が現実に戻ってきた健人は、触れられた衝撃で体を引かせてしまった。嫌だったわけではない。けれども、今の行動は、歩を拒んでいるように見えた。
「嫌、だよね。男にキスされるなんか。……ごめん、忘れて」
 勢いよく引いた腕を、健人は掴んだ。酷く傷ついた顔をしている歩を見て、悪いことをしてしまったと後悔した。嫌だと思ったわけではない。それだけは伝えたかった。
「摺Α!@いただけだ」
「ほんとに? 気、遣わなくていいんだよ。気持ち悪いなら、気持ち悪いでいいから」
「お前に気なんか遣ってない!」
 あまりにも気遣ってくる歩に嫌気が差してしまい、健人は怒鳴るように否定した。その後で、大声を出してまで否定することではなかったと、唇を押さえて俯いた。何事もヒステリックに叫べば、問睿鉀Qするわけではない。いらいらして、怒鳴る癖がいつの間にかついてしまっていた。
 沈黙が訪れて、秒針の音が部屋に響いている。なんだか、恥ずかしいことを言ってしまったのではないかと思い、健人は顔を上げることが出来なかった。
「俺の話、聞いてくれる?」
 縋るような声が聞こえて、健人は顔を上げた。今まで見たことも無いぐらい、悲しそうな顔をしている。怒鳴ってしまったことで、歩がこんな顔をしているのかと思って、後悔した。一回、首を縦に振ると、歩は「ソファ俗恧Δ工妊预盲平∪摔伪持肖蜓氦筏俊
 どんな話をするのか、見当もつかなかった。これが大事な話と言うのは分かっていて、それを受け止めれるかどうか、健人は不安だった。
「家族の話、なんだけどね」
 ポツリと呟くような、とても小さい声だった。歩が自分から過去の話をするなんて、滅多にないことだ。以前、ジンが尋ねないと聞かないと言っていたのを思い出して、健人は前を見つめている歩の横顔を見つめた。前を見ているだけで、その目には何が写っているのかは分からない。でも、無表情にならなければいけないほど、話すのに覚悟がいることは分かった。
「俺には、兄ちゃんがいるんだ。あんまり、父さんとか景子さんの前では、話すことが出来ないんだけどさ……。父さん、気にするし。兄ちゃんとは5歳離れてるんだけど、ケンカとかあんまりしたことなくて、結構、仲良かったんだ。父さんと母さんが離婚するって聞いたとき、何が嫌だったかって言ったら、俺は兄ちゃんと離れるのが嫌だった。でも、二人の関係がすでに壊れてるのは分かってたから、そんなこと言えなかった。母さんと離れるのは、はっきり言って嬉しかったしね」
 自嘲気味に笑う歩を見つめて、健人は何も言わなかった。健人が話しているとき、歩は黙っていてくれたのだから、健人も黙って聞こうと拳を握った。
「母さんが作る料理の味って、俺、分かんないんだ」
「……え」
「家の中で、俺は居ない存在。父さんと兄ちゃんは相手してくれるけど、母さんは俺になんか興味が無くて、何をしていようと何も言わないし、見ることも無かった。最初は、構ってほしいから悪戯とか良い事もいっぱいしてきたけど、何も言ってくれない。見ることすらしない。常に、兄ちゃんのことばっかり気にするんだ。あぁ、そう言えば、兄ちゃんが受験のときに、俺が兄ちゃんの部屋に行ったら、物凄く怒ったかな。受験の邪魔をするなって、叫ばれて、怒鳴られて、殴られた。俺、ただ、兄ちゃんにお茶を持っていこうとしただけなのに……。兄ちゃんが、かなり高いレベルの学校行くの知ってたから、頑張ってって言いたかっただけなんだ。それすらさせてもらえないことに、腹が立つを通り越して呆れたよ。せめてもの反抗で、笑ってやった。怒鳴ってる最中も、殴ってる最中も、思いっきり笑ってやったら気持ち悪いって言われたんだ。こっちからしたらさ、何も悪いことしてないのに、勝手に俺のこと嫌って、相手にもしないのに、兄ちゃんのところへ行ったら怒るんだ。自分勝手も良い所だろ? きっと、あの人の中で子供は兄ちゃんだけだったんだろうな。何で、俺を産んだのかも分からないし、本当の子供なのかと疑ったこともあった。けど、俺はあの人と父さんの子供なんだよ。兄ちゃんもそう。……可笑しいだろ? 兄ちゃんと同じなのに、俺だけ嫌われてんの。最初、健人が俺に対して冷たい態度取ったとき、母さんとダブったんだ。だから、健人のことはそんなに好きじゃなかった。母さんへの復讐を、俺は健人にしてたんだと思う」
 健人は黙って、歩を見つめた。この1年半、してきたことは謝っても取り消せるわけでもないし、歩の心の傷をえぐってしまっていたとしても、それは消せない事実として残る。本当に謝っても済まされないことをしてきたのだ。健人は謝罪の言葉を噛み砕き、それを必死に飲み込んだ。幸せだと決め付けていた歩の家庭に、そんなことがあったとは、思いもしていなかった。
「俺、マジで人に優しくするのって苦手なんだよね。優しくしてるフリなんだ。ある程度はさ、どう言えば相手が喜ぶか分かってるから、喜ぶような言葉を言ってる。一人の奴がいたら、声をかけて、仲間に入れてやっ

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